アジア開発銀行の次期総裁に神田直人前財務官?

 アジアと大洋州の各国の貧困削減と経済発展を支援する国際機関であるアジア開発銀行(ADB:Asian Development Bank)の現在の総裁は浅川雅嗣氏ですが、在任期間が4年半を経過したのでそろそろ交代の時期にさしかかっていました。浅川総裁は、財務省出身で国際局長や財務官を歴任するなど日本の国際金融業務を担当してきました。後任は、同様に財務省で国際局長と財務官を歴任した神田真人氏を候補とする旨を財務省が発表しました。

 現段階で「候補」と言っているのは、アジア開発銀行の総裁は加盟国の出資割合に応じた投票での選挙で選ばれるからです。初代総裁の渡辺武氏以来、代々、最大の出資国である日本から選ばれてきました。同率で最大の出資国であるアメリカは類似機関である世界銀行の総裁を輩出していますので、アジア開発銀行は日本にどうぞということなのでしょうか。

 他方で、第三の出資国である中国は、国連機関などのトップに中国人を送り込むことに力を入れています。例えば、国連食糧農業機関(FAO:Food and Agriculture Organization)などのトップは中国人です。4年前には特許や商標などを管理する世界知的所有権機関(WIPO:World Intellectual Property Organization)のトップである事務局長選挙でも激しい選挙戦になりました。結果は中国人ではなく日米欧が推すシンガポール人が就任しましたが、中国は経済力を背景に国際ルールづくりにも関与を強めています。

 この10年、世界経済における日本経済のプレゼンスは低下する一方です。そうした中で、国際機関における日本のプレゼンスをどうやって維持するかについて、桜井シュウは2024年4月3日の財務金融委員会で提案しております。

 神田真人前財務官については、存じ上げていますので、是非、アジア開発銀行の総裁に就任していただきたいと思います。

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