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2期目の政策

決意・政策

4.教育(その1)~基礎編~

 教育の目的については、様々な考え方があります。例えば、「人格の完成を目指すもの」や、「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた国民の育成するもの」等です。ここで、教育の目的を論じ始めると、それだけで紙面が尽きてしまいますので、とりあえず福沢諭吉の「学問のすすめ」を紹介し、これに基づいて話を始めます。福沢諭吉は、「身に才徳を備んとするには物事の理を知らざるべからず。物事の理を知らんとするには、字を学ばざるべからず。是即ち学問の急務なる訳なり」と述べています。ここで、「字を学ぶ」とは例えば読み書き計算等の基礎のことであり、「物事の理」とは例えば社会問題についての理解や科学技術の理解であり、「身に才徳を備える」とは円満な社会人であると思われます。福沢諭吉が言うように(福沢諭吉に言われるまでもなく)、読み書き計算がキチンとできて初めて、社会の諸問題や科学技術について理解できるということであり、そうして「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた国民」となることができると考えます。したがって、まずは読み書き計算を徹底的に鍛えるべきです。現状では、読み書き計算すら十分に備わっていないように思われます。 読み書き計算を徹底的に鍛え、その結果、学力が大きく向上した例として、兵庫県朝来市立山口小学校が有名です。百マス計算や、音読繰り返し等の読み書き計算を徹底的に反復しました。平成14年から実施されたゆとり教育の中で、ともすれば軽んじられた基本基礎の徹底の有効性が山口小学校の例で改めて実証されました。また、脳科学においても、読み書き計算をしているときには、脳が活発に活動する(=頭が鍛えられる)ということが明らかになっています。

 スポーツにおいて、野球の千本ノックや素振り、サッカーのシュート練習等、反復練習の意義はよく理解されており、実践もされています。音楽の世界でも楽器を習うときには、同じ曲・同じフレーズを何度も繰り返して演奏します。このように、何かを習得するときには同じ動作・技術を繰り返し練習することは当然に行われています。ところが、勉強となると何故か、反復練習がおろそかになってしまいがちです。山口小学校の陰山英男先生は、教科書の音読100回を奨励していたそうです。

 また、私ごとで恐縮ですが、私自身は、実は英語が苦手でしたが、高校2年の頃にある英語の名人に「英語の教科書を500回音読しろ」と言われ、それを実践したところ、英語の成績はグングン伸びました。500回の音読というのは、アゴの筋肉に英語を覚えさせるという感覚で、頭で考えなくても自然に英語が出てくるようになりました。

 反復練習は、退屈ですので、子供はやりたがりません。私自身もモノグサで高校2年までは反復練習を避けてきました。しかし、三度の食事の後の歯磨きのように習慣にしてしまえば、反復練習は苦痛でなくなります。

 明治時代の知識人は子供時代に漢文の素読などで徹底的に反復練習を行い、コトバの基礎を身に着けたようです。江戸時代においても、宮本武蔵は、「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす。」と述べ、基礎の反復練習を継続することの重要性を説いています。徳川将軍秀忠公・家光公の兵法指南役の柳生但馬守宗矩は、「様々の習をつくして、習稽古の修行、功つもりぬれば、手足身に所作はありて心になくなり、習をはなれて習にたがわず、何事もするわざ自由也。」と述べ、基礎の反復練習を徹底することで、技をしっかりと身につけ、それにより技を自在に使いこなせるようになる、これこそ自由であると説いています。しかし、残念ながら今の時代には日本の古き良き伝統であった「鍛錬」という勉強方法と勉強習慣は必ずしも十分には引き継がれていないようなので、学校では「勉強」を教えるだけでなく、改めて「勉強方法」も教え、「勉強習慣」を子供のうちに身につけさせることも必要だろうと考えます。

 読み書き計算は、学力の基礎です。小中学校においては、反復練習を徹底することで、読み書き計算の力を確実なものにします。また、学力の基礎を確実なものとすることができれば、発展的な分野でも力を伸ばすことができるでしょう。

  • 「読み」について
 小学校・中学校教育において、国語・英語とも、音読の反復を徹底することから始めます。音読を100回程度繰り返すと、意識的に覚えようとしなくても自然に暗唱できるようになります。

 英語については、英文とその音声(ネイティブの声)がセットになっている教材で、音声を聞きながら発音・アクセント・イントネーション・速度等を全て真似するようにして音読する(シャドーウィングという)と、なお良いです。リスニングも上達しますし発音もカッコよくなります。

  • 「書き」について
 「書き」の訓練が足りないと思います。多くの日本人は、就職して職場で初めて文章の書き方の指導を受ける、という有様です。自分の伝えたいメッセージを読み手に正確に伝えられるような文章を書けるよう、作文指導を徹底すべきです。このためには、事実関係を正確に描写するための文章と自分の意見表明のための文章とを区別して練習する必要もあります。また、書く文章量が絶対的に不足しているので、宿題等で書く量を補っていく必要があろうと考えます。
  • 「計算」について
 「計算」は、必ずしも算盤や百マス計算を意味するものではありません。計算は、整数の四則演算のみではないからです。小学生であれば、小数や分数の計算も計算です。中学生であれば、方程式を解くのも計算です。高校生になれば、三角関数や微分積分なども出てきます。計算の反復練習とは、これらを含めて、徹底的に行うという意味です。

 なお、計算練習をするときにはタイムを計測すべきです。そして、タイムを競う相手は、クラスメートではなく、昨日の自分です。昨日よりも少しでも速くできれば、それが成長の証です。このようにして、成長を実感できれば、やる気も湧いてくることでしょう。

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