立憲民主党 兵庫県第6区 桜井シュウ 公式サイト

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2期目の政策

決意・政策

3.医療~医師不足対策など~

(2)医師不足の背景
 ところで、医師不足が社会問題となっています。医師不足の原因は、いろいろ考えられますが、医学部定員削減や女性医師の復職問題が挙げられるでしょう。医学部定員については、2009年に政府が方針を定員削減から定員増へ大転換しました。ただし、医師を育てるのには、医学部で6年間、研修医として2年間と少なくとも8年間はかかり、そこから医師としての技量を蓄積していくことを考えれば、十年以上かかると考えるべきです。すなわち、今から医学部の定員が増えても医師不足に対する効果が発現するまでには十年以上かかるということになります。また、十年経てば医師不足が直ちに解消する訳でもありません。したがって、今後十年間どのように対応するのか、またその後もどのように対応するのかが課題となります。

 女性医師の復職問題とは、出産・子育てのためにいったん離職した医師が復職することが難しいという問題です。30歳前後になり医師として一人前になるころ、家庭生活でも出産・子育ての時期になります。 若手の勤務医には、週に2~3回の宿直がある等勤務時間も長いため、子育てと両立は簡単ではありません。 したがって、出産後も復職できない女性医師が少なくありません。特に産婦人科や小児科において女性医師が増加しており(現在の研修医の7割程度は女性)、出産・子育て後に復職してもらえないとたちまち医師不足になってしまいます。現在、医師不足が産婦人科と小児科において特に厳しい状況であるのは、このような理由からでもあります。本来であれば、出産・子育てを経験した女性医師は、患者から見て患者の気持ちが実体験を伴って理解してもらえる貴重な存在ですから、産婦人科医や小児科医として活躍していただくべきだと桜井は思いますが、現実はその逆のことが起こっています。

 阪神北地域においては、宝塚市立病院と市立川西病院は分娩を中止したままです。伊丹病院でもH26年4月から分娩を停止しました。H27年の秋には分娩を再開する予定になっています。このように、阪神北地域においても現実の問題として発生しており、現時点では医師数は充足しているものの市立伊丹病院においても診療科によっては医師不足に陥るリスクは常にあります。

 医師不足の問題は、実は医師のうちの大病院で働く勤務医が不足しているという問題なのです。開業医が不足しているという話ではありません。大病院は、多数の入院患者を抱え、また救急医療の受け入れも行っているので、宿直が必須になります。多い場合には、週に2~3回の宿直があります。もちろん、昼間は普通に勤務しますので、宿直があると、通常勤務→宿直→通常勤務と連続で30時間以上も勤務することになります。このような勤務体系は労働基準法違反ではないかとも思いますが、厚生労働省の指針では宿直は勤務扱いにしないので、労働基準法違反にはならないのです。このような方便が許されるご都合主義のお役所には呆れるとともに、苛酷な勤務を強いられる勤務医の方々には頭が下がります。

 さて、このような生活を続けていると、身も心も持たないと感じ、勤務医を辞めて開業する人も少なくありません。そうすると、残った勤務医にさらに負担がしわ寄せされ、耐えきれず辞めてしまうという悪循環が起こりつつあります。この悪循環が加速した状態が医療崩壊であり、医療崩壊が起こってしまうと、それを立て直すのはとてもたいへんです。実際、イギリスでは1990年代に医療が崩壊してしまい、今も手術が1年待ち等という惨状のようです。

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