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2期目の政策

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5.教育(その2)~応用編~

 教育の基礎編では、徹底した反復練習によって、読み書き計算等の基礎力を身につけることを申し上げました。そうすると、「詰め込み教育では創造性が育たない、個性がなくなる。自分で考えるような勉強こそが必要だ。」という批判が出てきます。この批判は、半分当たっていますが(後半)、半分は的外れ(前半)です。

 まず、的外れな点から説明します。例えば、創造的な仕事として広告の仕事があります。これは、思いつきでキャッチフレーズを作っているように見えるかもしれませんが、その前に市場調査を行って、消費者がどのような商品を欲しているか、消費者はどのような言葉に反応するのか、という分析があって初めてできることです。すなわち、統計学や心理学などを習得していることはもちろんのこと、言葉に対する感性が磨かれていなければ広告の仕事はできません。これらの基礎は、やはり読み書き計算です。また、建物を設計しようとするとき、計算ができなければ設計できません。構造計算による裏打ちがなければ、仮に建物が出来上がったとしても、いつ倒壊するか分からず危なくて誰も建物の中に入れません。建物を創造する前に、構造計算が必要なのです。これらの例を出すまでもなく、基礎力なしには何の創造もできないということなのです。

 一方で、当たっている点について説明します。基礎力だけではダメだという点はその通りです。基礎は基礎であって、基礎の上に目指すべきものを打ち立てて始めて基礎は活かされるのです。つまり、論語に「学びて思わざれば則ち罔し、思いて学ばざれば則ち殆うし」とあるように、基礎だけでも不十分ですし、考えるだけの教育でもダメで、両方必要だということです。しかし、一度に基礎力も創造力もと求めると、虻蜂取らずになってしまいます。したがって、小学校低学年では基礎を中心としつつ、小学校高学年になると考える勉強が徐々に増え、中学校・高校ではさらに増えるというように、段階を追って徐々に進めるべきことです。

 日本の教育では、たった一つのしか正解のない問題を解かせ、「正解」を迅速かつ的確に導けるようにすることのみに注力する傾向にあります。しかし、世の中には「正解」のない問題もたくさんあります。そして、「正解」がある問題ばかりやっていると、「正解」のない問題に直面した時に、考えてもしょうがない、として考えるのを諦めてしまったり、思考停止に陥ってしまうようです。したがって、学校教育などで普段から「正解」のない問題又は「正解」がいくつもある問題について考えることが重要です。

 例えば、独創的な創造力を鍛えることが必要でしょう。その方法として、例えば、クリップを5つ用意し、「これを使ってみんなで凄いことをやってみよう」という課題を与えます。生徒たちは、凄いことって何か、クリップ5つでどのような価値を生み出せるのか、みんなで一生懸命になってアイディアを出し合うでしょう。そうしたプロセスを通じて想像力が刺激されて創造力が鍛えられます。

 また、例えば、倫理や道徳について考えさせるのもよいでしょう。命は大事だということを出発点に、「死刑制度は是か否か?」や「人工中絶は是か否か?」ということを考えるなどです。そして、最初は賛成の立場で、次は反対の立場でというように、両方の立場を主張するための論理を考える練習をする(いわゆる「ディベート」)というのも、思考力を鍛えるという観点でとても重要なことです。

 なお、日本では「哲学」というと、学者が象牙の塔に閉じこもって小難しい言葉と使い回している、現実世界とは縁のない学問のように思われていますが、本当の哲学は、現実の問題を考えること、そのものです。このような議論を扱った本2はいろいろあり、それを全てこなすのは難しいとしても、そこからつまみ食いをして取り上げるとよいと思います。

 こうした練習を通じて、市民一人一人が論理的に物事を考えられるようになりますし、また社会全体としても論理的に議論できる社会になるでしょう。そうすれば、いろいろな社会問題が生じたときに論理的な議論を行うことによって、たとえ結論において賛成できない結果であったとしても、その過程において納得感を得られることと思います。 教育は、何も子供たちだけがするものではありません。日進月歩の世の中ですから、大人も自己研鑚が必要です。また、日々精進し、日々成長することこそが、人生の充実でもあります。

 したがって、中学や高校のレベルから勉強をやり直したいという大人向けに、中学校・高校での聴講制度を導入します。聴講生は、申し込んで登録を受けなければ受講できません。聴講生は、1年間出席し、テストでも所定の成績を修めれば「修了証」を発行します。

 聴講制度の狙いは、年配の方々でもう一度勉強したいという方の熱意に応えるということが第一ですが、これに加えて、教員は、熱心な大人が生徒に加わることで、これまで以上に緊張感をもって授業に臨むこととなるでしょうから、授業の質を高める効果も期待できます。さらに、生徒は、大人が熱心に勉強している姿を見て刺激を受けて、より熱心に勉強するようになることも期待できます。

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